未分類 2026年9月21日

「怒り」の下には、別の感情が隠れているかもしれない

「すぐ怒ってしまうんです」

コーチングをしていると、ときどきこんな相談を受けます。

本人としては、

「怒らないようになりたい」
「もっと穏やかになりたい」
「感情をコントロールしたい」

と思っている。

でも私は、怒りが出てきたときに、いきなりそれを消そうとしなくてもいいと思っています。

むしろ、

「怒る直前、本当は何を感じていたんだろう?」

と考えてみる。

ここが結構大事です。

怒る前に、何かありませんでしたか?

例えば、家族から何も相談されずに予定を決められた。

そこで、

「勝手に決めるなよ!」

と怒ったとします。

表面に出ている感情は「怒り」です。

でも、その少し前には、

「自分は大事にされていない気がした」

「仲間外れにされたようで寂しかった」

「自分の意見なんてどうでもいいのかな」

という感情があったかもしれません。

あるいは仕事で、自分が一生懸命説明したのに相手がまったく聞いてくれなかった。

「何回言えば分かるんだ!」

と腹が立つ。

でもその下には、

「ちゃんと理解してほしかった」

「自分の努力を軽く扱われた気がした」

「無視されたようで悲しかった」

という感情があるかもしれません。

もちろん、すべての怒りに必ず同じ感情が隠れているわけではありません。

ただ、

怒りだけを見ていると、その前に何が起きていたのかを見落としやすい。

これは覚えておいていいと思います。

「怒りは二次的な感情」と考えてみる

心理学では、怒りを「二次感情」として捉え、その前に不安、悲しみ、寂しさ、傷つきなどがあると考えることがあります。

ただし、ここは少し正確に書いておきます。

「怒りは二次感情である」という表現そのものが、アドラー心理学だけの理論というわけではありません。

一方でアドラー心理学には、

人の行動や感情を、過去の原因だけではなく「何のためにそれを使っているのか」という目的から見る

という考え方があります。

怒りについても同じです。

「なぜ怒ったのか?」

だけでなく、

「怒ることで、私は何をしようとしているんだろう?」

と考えてみる。

例えば、

相手を黙らせたい。

分からせたい。

謝らせたい。

自分の正しさを認めてもらいたい。

自分を守りたい。

こう考えると、怒りの見え方が少し変わります。

私も「相手が悪い」と思うことはあります

これはコーチだから怒らない、という話ではありません。

私自身も、

「それは理不尽じゃない?」

「なんでそんなことするんだ?」

と思うことは当然あります。

人間なので。

だから私は、「怒るのはよくない」とはあまり言いたくありません。

怒りそのものを悪者にすると、

「また怒ってしまった」

「自分はダメだ」

と、今度は自分を責める材料が一つ増えてしまいます。

それより、

怒った。

では、その前に何があった?

と考えるほうが建設的です。

「悲しかった」と言うほうが難しい

実は、

「ふざけるな!」

と言うより、

「それをされて、私は悲しかった」

と言うほうが難しいことがあります。

「なんで勝手に決めるんだ!」

より、

「自分も家族の一員として、先に相談してほしかった」

と言うほうが勇気がいる。

怒りは強い言葉です。

だから、一瞬、自分を守ってくれることがあります。

一方で、

悲しい。

寂しい。

不安だった。

大切にしてほしかった。

という言葉には、自分の弱い部分も少し見せなければなりません。

だから言いにくい。

でも、人間関係を変えるのは、案外こちらの言葉なのかもしれません。

怒ったときに、一つだけ質問してみる

次に誰かに腹が立ったとき、

すぐに怒りをなくそうとしなくていいので、一つだけ自分に質問してみてください。

「怒る直前、私は何を感じていた?」

悲しかった?

寂しかった?

不安だった?

軽く扱われた気がした?

期待を裏切られた?

分かってほしかった?

答えがすぐに出ないこともあります。

それでも構いません。

怒りだけだった世界に、

「その前」

が見えてくる。

それだけでも、自分の感情との付き合い方はかなり変わります。

怒りをゼロにする必要はない

私は、怒りを完全になくす必要はないと思っています。

人間ですから、腹が立つことはあります。

大切なのは、

怒るか、怒らないか

だけではなく、

その怒りをどう使うか。

そして、

本当は何を相手に伝えたかったのか。

そこを考えることです。

「お前が悪い」

の一言で終わらせるより、

「私はこう感じた」

までたどり着ければ、人間関係は少し違う方向に進むかもしれません。

怒りをなくす。

ではなく、

怒りの奥にある自分の気持ちを知る。

私は、そのほうがアドラー心理学らしい向き合い方だと思っています。


参考資料

日本アドラー心理学会「アドラー心理学とは―アドラー心理学の基礎」。アドラー心理学の基本前提として「個人の主体性・目的論・全体論・社会統合論・仮想論」を紹介。2026年9月21日確認。
Alfred Adler, Understanding Human Nature(原著1927年)。怒りを含む感情について、目的や方向性との関連を論じています。
Idaho Society of Individual Psychology, “Adlerian Theory of Emotions / Anger,” 掲載資料。アドラーの感情に関する目的論的な記述を紹介。2026年9月21日確認。

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